家庭用蓄電池

蓄電池システムとは

ここ数年で蓄電池の価格は大幅に下がり、今では太陽光発電を設置しているのであれば、蓄電池もセットにするのが、「標準」となってきています。

電力会社から買う電気で充電

夜間が安くなる電気料金プランを利用すれば、充電費用が抑えれれます。

太陽光発電の電気で充電

充電のための電気代がかかりません。

なぜ今、蓄電池はこれだけ売れているのか?

出典:JEME 蓄電システムビジョン(家庭用蓄電システム版)

蓄電池を導入する方が急増しているのはご存知でしょうか?
これまでも堅調に推移してきた蓄電池市場ですが、以下のような背景から、ここ数年でその勢いがますます加速しました。

蓄電池の導入が急増している背景

    • 2019年11月に初めて、10年間の固定買取期間が終了する人が53万人も出てくる。(いわゆる2019年問題)
    • 2019年に国の蓄電池補助金が復活(4年ぶり)。
    • 製品ラインアップが増えて、あらゆるニーズに応えられるようになった。
    • 自然災害による大規模停電の増加で、災害対策としての需要が高まった。

太陽光発電を設置しているのであれば、蓄電池を導入するのが「あたりまえ」になってきています。

卒FIT後の太陽光は売電価格が激減

これから卒FITを迎える方は、太陽光発電の電気をなるべく使わず、余らせて売電することがお得になった10年間でした。
しかし、10年の固定買取期間が終わった後は、これまで通りの価格で売電することはできません。

10年目までの売電価格 11年目以降売電価格 年間メリット差※
北海道電力 48円 8円 -211,199円
東北電力 48円 9円 -205,919円
北陸電力 48円 8円 -211,199円
東京電力 48円 8.5円 -208,559円
中部電力 48円 7円 -216,479円
関西電力 48円 8円 -211,199円
中国電力 48円 7.15円 -215,687円
四国電力 48円 7円 -216,479円
九州電力 48円 7円 -216,479円
沖縄電力 48円 7.5円 -213,839円

※6kW太陽光発電システムの年間発電量6,600kWhを、2割を自家消費、8割を売電として計算。

蓄電するのが本当にお得なの?卒FIT後の3つの方向性

卒FITによって、売電メリットが大きく減少することについて説明しましたが、ではどうするのがお得でしょうか。
卒FIT後の太陽光発電の活用方法には大きく3つの方向性があります。

  1. なにもしない(そのまま売電)
    ただし、売電収入は83%超減
  2. 「生活スタイルを変えて」自家消費を増やす
    ただし、無駄な電気利用が増える
  3. 「蓄電池で賢く」自家消費する
    電気プランを最大限利用

蓄電池の3つのメリット

停電時に電気が使える

蓄電池があれば、停電が起きたときにも太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めて、必要な時に使うことができます。

例えば、蓄電容量7.2kWhの蓄電池がフル充電の状態であれば、以下の電子機器を12時間使用し続けることができます。
(フル充電は3時間程度で完了します。)

太陽光発電の電気を自家消費できる

蓄電池があれば、太陽光発電でつくった電気の自家消費比率を高めることができるというメリットがあります。

先ほど説明した卒FITのケースはもちろん、これから太陽光発電を導入する人は売電価格よりも電力会社から購入する電気の方が割高になりますので、
蓄電池を導入して自家消費比率を高めたほうがお得になります。

深夜の割安な電力を使うことができる

一般的に蓄電池を導入すると、電力会社との契約を深夜料金が安いプランに変更します。
(オール電化を導入済みの方は既にこのようなプランになっているはずです。)

太陽光発電で貯めた電気を夜に使うだけでなく安い深夜電力をさらに貯めて、太陽光発電がまだ動き出さない朝の時間帯に使うことで2つめの経済メリットを得ることができます。

蓄電池の種類

蓄電池の種類 コスト
(1kWあたり)
メリット デメリット 備考
リチウムイオン電池 20万円 寿命が6~10年と長寿命。
サイクル数は3500回
コストがかかる PCや携帯のバッテリーに使用される電池。
家庭用蓄電池として主流の電池となっている。
鉛蓄電池 5万円 寿命が~17年と一番長い。
サイクル数は3000回
充放電のエネルギー効率が他の電池よりも低くなる。
使用回数とのバランスを見る必要がある。
電池の中では一番歴史が長い電池。
ガソリン車のエンジンを起動する時に使用されている。
ニッケル水素電池 10万円 寿命が5~7年。
リチウムイオン電池と比較すると、安全性が高い。
事故放電が多く、コストパフォーマンスが悪い。 リチウムイオン電池が登場するまでのモバイルバッテリーは、ニッケル水素電池が使用されていた。
安全性が高いため、小さなお子様がいるご家庭で使用される場合がある。
NAS電池 4万円 サイクル数に制限がなく、他の蓄電池よりも長期間使用できる。 長時間使用することによる部品の劣化が避けられない。 日本ガイシ(株)のみが製造。
鉛蓄電池よりもコスト面で優れている電池として、大規模施設のバックアップ電源として使用されている。
レドックスフロー電池 寿命が20年。
NAS電池と同じようにサイクル数は無制限なので、半永久的に使用が可能。
重量エネルギー密度がリチウムイオン電池の1/5と低いため、小型化が難しい。 イオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う電池。
次世代の蓄電池を担う安定化技術として期待されている。

蓄電池の価格

太陽光発電と比較しても、蓄電池はメーカーや製品、販売店によって価格のバラつきが多い製品です。
相場価格も定まっていないのが正直なところです。

強いて言えば、価格目安の参考になるのは、国の補助金の目標価格です。

2019年度に国の補助金が復活し、目標価格を下回らないと補助金を支給しないという条件が付きましたので、その価格に近づいて行くと思われます。

その目標価格が180,000円/kWhです。

▼スマートスターL(9.8kWh)を目標価格で導入した場合

kWhあたり目標価格 蓄電容量 価格 工事代 消費税 総額
180,000円 9.7kWh 1,746,000円 250,000円 159,680円 2,155,680円

※蓄電容量はSII登録の値の為、カタログ記載の値と異なっています。

いま一番売れ筋なのは、伊藤忠商事が総販売元になっている「スマートスターL」という9.8kWhの蓄電池です。

このスマートスターLで計算すると、上記の計算になります。

実際にはもう少し高く販売されていた蓄電池なのですが、この補助金が出たことによって、市場はこの金額に収斂して行ってる様子が見えます。

もう少し蓄電容量を抑えたタイプですと、こちらも人気があるオムロンの6.5kWhの蓄電池がありますが、同じ計算をするとこのような感じになります。

▼オムロン蓄電池(6.5kWh)を目標価格で導入した場合

kWhあたり目標価格 蓄電容量 製品価格 工事代 消費税 総額
180,000円 6.5kWh 1,170,000円 250,000円 113,600円 1,533,600円

家庭用蓄電池メーカーの選び方

いざ蓄電池を検討しようと思うと、次に考える必要があるのがメーカー・機種選びです。
家庭用蓄電池は、価格以外にもメーカーや機種ごとに以下のような違いがあります。

  1. 太陽光発電と連携可orスタンドアローンタイプ
    蓄電池には太陽光発電と連携できるタイプの製品と、太陽光発電とは連携せずに電力会社から供給される電気だけを蓄電できるスタンドアローンタイプの製品があります。太陽光発電を導入する方は太陽光発電と連携できるタイプの製品を選ぶ方がほとんどですが、マンションなど太陽光発電を設置するのが難しい環境なのであればスタンドアローンタイプを導入するという選択肢もあります。
  2. 蓄電容量
    家庭用蓄電池の電気を貯めることができる容量はメーカー・機種ごとに異なります。平均的な容量は5~7kWh程度ですが、大型のタイプでは10kWhを上回る機種もあります。どれぐらいの容量を選ぶかについては、災害時にどれぐらい電化製品を使いたいかによって判断します。
    当然、蓄電容量が多い機種ほど設置費用が高くなる傾向がありますので、費用対効果を考えて機種選定をしてください。
  3. サイクル寿命
    メーカーや機種によって大きく異なるのがサイクル寿命です。蓄電池は充放電を繰り返すことで徐々に蓄電可能容量が少なくなっていきます。これをサイクル寿命と言います。例えば、シャープのクラウド蓄電池システムの場合、約12,000回の充放電を繰り返しても初期の約70%の容量を維持できるとされています。
    スマートフォンを使っている方なら、スマートフォンの充電の「持ち」が徐々に悪くなることを実感しているのではないかと思います。これはまさにサイクル寿命が減っているということです。
    サイクル寿命はメーカーや機種によって異なりますので、選ぶ際の一つのポイントとなります。
  4. 特定負荷型or全負荷型
    メーカー・機種選びのポイントとして、あまりよく知られていないのが特定負荷型と全負荷型の違いです。特定負荷型とは、停電時にあらかじめ選んでおいた回路に限定をして電気が使える蓄電池です。例えば、一階の照明や冷蔵庫を選んでおいたとすると、停電時に一階の照明や冷蔵庫を使うことはできるものの、二階のパソコンは使えない、といった具合です。
    一方の全負荷型の場合には、停電時にも原則的に全ての電化製品を使うことが可能です。
    現在市場に流通している蓄電池の大半は特定負荷型ですが、伊藤忠商事のSmartStarLや、4Rエナジーのエネハンドといった製品は全負荷型です。
    特定負荷型に比べて全負荷型は高額になりますので、停電時の安心をどこまで求めるかでご判断ください。